CFP vol.42 平良亜紗美さん

CFP

2020年04月24日 23:04

教育研修ファシリテーターの平良亜紗美さんをご紹介します



-ちゅら子-
本日は宜しくお願いします
早速ですが、“教育研修ファシリテーター”とはどのようなお仕事なのでしょう
 


-平良さん-
ファシリテーションとは「促す」、「促進する」という意味があって、色んな分野で活かされるスキルの一つです。
私の場合は、教育現場における「交流活動」や「体験学習」などをデザイン&プログラムし運営しています



―ちゅら子―
これまでに関わったお仕事を具体的に教えていただけますか



―平良さんー
最近だと、沖縄県の事業に関わらせてもらいました
「郷土芸能の分野で活躍する沖縄県内の高校生」が文化交流を目的に、ハワイのオアフ島で短期研修を行ったんですね。その研修に同行しました 研修カリキュラムは5泊7日で予備研修が事前にあります。

県内の各学校から生徒達が集まってきますが、ほとんどが初対面なので、 関係構築の為のアイスブレイクやチームビルディングというようなアクティビティを行います



事前研修


アクティビティの後は、なぜ、研修に参加するのか?」、「 何を学びたいのか?」、「 成長してどういう自分になりたいのか?」など、参加する目的や目標を明確にしてもらうよう働きかけます

他にも、現地の方々と交流するには自分自身が育った沖縄のことを知っておかなければなりません。なので「沖縄の歴史と文化」という講座を開いたり、ハワイは英語圏なので「英語研修」を行ったり、「ハワイの歴史と文化」に触れることのできる研修を行います。



沖縄の歴史と文化



ハワイの歴史と文化


-ちゅら子-
平良さんがファシリテーターとして大事にしていることは何ですか



-平良さん-
私自身、海外留学やハワイで過ごした経験があるんですね。
現地の方々から沢山のことを学ばせてもらい、沢山のことを体験させてもらって成長できたと感じています
なので、体験を通して学びを深め色んなチャレンジをして自己成長に繋げてもらえるよう、体験のプロセスを作ってあげたいですね
やっぱり、言葉で伝えても頭だけでしか解らないじゃないですか
体験することで確実に自分のものになります





-ちゅら子-
ご自身の体験がお仕事にも活かされているのですね
留学&ハワイで過ごした経験があるとおっしゃっていましたが、行く前と行った後では気持ちの変化ってありましたか



―平良さんー
ありました
もともと海外への憧れがあって、国際貢献できるといいなぁという考えはありました。
でも、実際外に出てみて考え自体変わりました。
沖縄のこと、何も知らなかったな・・・と。
自分が生まれ育った沖縄には解決しなきゃいけない問題がたくさんあったんです

「足元(地元)のことも出来てないのに他所の事なんて出来ない」って思いました。

それからです。
沖縄のことを真っ先に考えようと思ったのは。

ハワイへ行ったのは、“世界若者ウチナーンチュ大会”に参加したり関わったりしていて、世界の若い世代のウチナーンチュと繋がる機会に恵まれたので、その繋がりを通してハワイで「琉球アイデンティティカンファレンス」というものがあることを知り、そのメンバーと一緒に2017年にエイヤーって言って行っちゃいましたw それからは毎年ハワイへ行っています



琉球アイデンティティカンファレンス


―ちゅら子―
あさみさんにとってハワイとはどんな場所ですか



―平良さんー
一言で言うと・・・

「目覚めさせてくれる場所」

ですね。

ハワイには沖縄から移民したウチナーンチュやその末裔が沢山住んでいらっしゃって、沖縄に対する思いがとても強いんです
皆さん、自分のルーツをとても大切にされていて、どこのお家に行っても家系図があるんですよ!写真入りの家系図が壁に飾られています。お墓参りにもよく行きますね。

沖縄関連のイベントも定期的に開催していますし、芸能においても各流派にそれぞれ師範がいらっしゃって後継者を育てています





-ちゅら子-
沖縄の伝統文化が海を越えても守られているのですね
先程伺った高校生の短期研修の話題に戻りますが、高校生達は現地でどのような交流したのでしょう



-平良さん-
交流会と題した大きなディナーパーティーがあって、そこで、高校生達が演舞したり、ハワイの皆さんが手作りで持ち寄って下さったお料理を食べながらお喋りしたりして親睦を図っていました



ハワイウチナーンチュとの交流会


-ちゅら子-
ハワイのお料理が出てくるのですか





-平良さん-
ウムクジ天ぷらなどのウチナー料理から、ハワイのカルーアポークといって、焼き豚をさいたものをキャベツと炒める料理など色んな料理がありましたね~



-ちゅら子-
美味しそうですね
食事をしながら会話すると心が打ち解けると聞いたことがあります(#^.^#)



-平良さん-
交流会以外にも現地の小学校や高校を訪ねて生徒間の交流がありました
興味深かったのが、ハワイの小中高校には「ハワイアンスタディーズ」という科目があって、ハワイの歴史や文化、言語を学ぶ授業があります。

訪れた小学校(公立)では、短期研修に参加した高校生たちも「ハワイアンスタディーズ」の授業に参加して、小学生と一緒にハワイの歴史と文化を学ぶという体験をしました





高校は、カメハメハ高校」に行ってフラの授業に参加させてもらいました(゚∀゚)♫
この高校は何%か原住ハワイアンの血が入っていないと入学できない!という条件があって、元々の王家の財産で運営されています。








-ちゅら子-
ハワイがアメリカ州になる前の文化も教育のカリキュラムに取り入れているのですね

沖縄だと・・・琉球王国の歴史や文化を学ぶ感じかな。

実際、ハワイアンスタディーズの授業に参加した高校生達の反応はいかがでしたか?



-平良さん-
高校生たちの率直な声として・・・

「私達も沖縄の歴史を勉強したい!」、「沖縄ではどうして言語の授業がないの?」と言っていました。

あと、普段から携わっている郷土芸能について、より深く考えるようになっていましたね(*´▽`*)
今までは、どう綺麗に上手に踊るか、演奏するか、を意識していたようですが、「先祖が代々守ってきた芸能なんだ!」ということを意識して、唄の意味や背景をちゃんと勉強しなきゃいけないと話してくれました



-ちゅら子-
パフォーマンスとしてだけでなく、郷土芸能とどう向き合っていくかを考えるようになったのですね



-平良さん-
はい
研修に参加した高校生たちの成長を側で見ることができて嬉しかったです



事後研修


-ちゅら子-
ファシリテーターとして未来を担う高校生たちと関わってきた平良さんですが、足元を見なきゃいけない・・・とおっしゃっていましたね。
確かに沖縄は沖縄だけでは解決できない問題が山積です
今の沖縄を見て、どう思いますか?



-平良さん-
植民地だな・・・と思いますね

ハワイを見てきたから思うことでもありますが、私達はなぜ、自分たち沖縄の歴史を学ぶ環境が整っていないのか

私たちの先祖が話していた言葉が禁止された歴史があり、それゆえに元々の言葉を話せる人が減っています。
沖縄の言葉は独自性のある言語になると思うので、沖縄方言という言葉の位置づけもおかしいと思います

辺野古に関してもそう
県民投票ではあれだけ声をあげて民意を示しているのに、日本政府へ声が届かないのを目の当たりにすると、沖縄の自己決定権がないのでは?!?と感じますね。




-ちゅら子-
確かに多くの県民が理不尽さを感じていますね。
沖縄県、県民がどんなにアクションを起こしても日本政府は向き合おうともしない残念ですよね・・・。

この現状を踏まえて、平良さんの考えと、今後の目標を教えてください



-平良さん-
そうですね~
先ずは、沖縄の人達、島人が自分たちの歴史を知って自分たちは島人なんだということに気付き、ちゃんと権利を求めて動くことだと思います。
私自身海外に行ってそういったことに気付いて帰ってきたので、体験を通して、そういったことを伝えていきたいです
今は県が主催する事業に携わっているだけですが、教育ファシリテーターとして、ハワイだけでなく、各地域の歴史を学んだり交流の場を作って、若い世代が気付いていく機会を増やしていきたいです。





Interviewee:平良亜紗美
Interviewer:ちゅら子・アデ子
Tape transcription:まりりん
Editor:ちゅら子
Proofreader:プー子

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