2019年06月09日
CFP vol.32 若山大地さん
戦前から今に残る沖縄の村落石獅子(シーサー)に魅せられ、自らも石獅子を制作する若山大地さん。彼の活動範囲は海を越え台湾へ広がりを見せています。
かつて石畳があった首里の街で、オリジナルの石獅子を彫る若山大地さんのお店「スタジオde-jin」を訪ねました。
現代に生きる沖縄の石獅子職人に迫ります!
‐ちゅら子‐
素敵なお店ですね
白い獅子達が畳敷きのお店の雰囲気と馴染んで温かみを感じます。
これらは全て石で出来ているのですか
‐大地さん‐
はい
私が制作する石獅子は、琉球石灰岩という石を彫って作っています。
お店を畳敷きの和室調にしたのは僕の妻・恵里のこだわりです
お店の隣がアトリエになっています。
‐ちゅら子‐
お店の壁には沢山の石獅子 が並んだポスターが飾られていますね~
‐大地さん‐
このポスターは恵里の作品です
沖縄の各村々には石を彫った古い獅子がありますが、それを分布図として解りやすくグラフ化したものです
村落石獅子は、現在の沖縄シーサーの原型とも言われています。
‐ちゅら子‐
そういえば・・・
村のあちこちに石を彫った狛犬のような獅子(シーサー)を見かけます
私の住んでいた豊見城市にもポツンと佇んでいる石獅子?があったような・・・。普段は意識しないので気にすることもなかったのですが、それらが村落石獅子なんですね
饒波のシーサー
饒波のシーサー
よく目にする漆喰シーサーや焼き物のシーサーと同じような意味合いがあるのでしょうか 村落石獅子について教えてください。
‐大地さん‐
村落石獅子とは、守り神として各村の要所に設置された石獅子のことです
神社の狛犬(本土)のような権威付けがなかったこともあり、家の屋根に乗せる文化に繋がったのではないかと言われています。
文献には村の石工が作ったと記述されているものが多く時代背景と作風から、一部の獅子は久米村の技術者(中国からやってきた技術者)の手が入っていると思います。
当時(琉球王朝時代)は庶民が勝手に石獅子を彫ることは許されていませんでした。
ある一定の王府からの許しを経て、各村の石工(石大工)によって制作されたものが多いようです。
‐ちゅら子‐
そもそも獅子は架空の生物だと思いますが、どこからきたものですか
‐大地さん‐
沖縄の獅子や本土の狛犬は元を辿るとスフィンクスに代表される古代オリエントに繋がります。
日本は沖縄も含めシルクロードが終着点で、一説には日本は朝鮮半島経由で、沖縄は南中国経由で入ってきたとも言われています
特質すべきは、仏教的な思想がそれほど民衆に浸透していなかったため、沖縄の獅子には阿吽の概念があまり見られませんでした。つまり、一対ではなく単体で存在しているものもあるのです。
沖縄の獅子文化は多種多様な形のみならず、ニーズに合わせ近代になって阿吽の概念を取り入れたりするなど現在進行形で発展しています
字根差部のシーサー
字根差部のシーサー
字根差部のシーサー近くで散歩中の山羊に遭遇
字根差部のシーサー近くで散歩中の山羊に遭遇
‐ちゅら子‐
大地さんが石獅子を彫るようになったきっかけはなんですか
‐大地さん‐
沖縄県立芸術大学(彫刻専攻)を卒業した後は、石彫刻家として活動しています。
村落石獅子を意識して彫るようになったのは、友人に連れられ那覇市上間にある石獅子を見にいったときです。
すぐにピ~ンときました。それは自然の岩(琉球石灰岩)に目と口を彫っただけのシンプルなものでしたが、力強い印象を受けました 僕が追い求める石彫の概念そのものが、その石獅子から感じられ、魅了されましたね~
石獅子 カンクウカンクウ
石獅子 カンクウカンク
石獅子カンクウカンクウの説明
それからです!
オリジナルの石獅子を彫るようになったのは
‐ちゅら子‐
大地さんの手掛ける石獅子はシンプルで表情豊かですよね
愛嬌もあって可愛いです
スタジオde-jinには、中国語で石獅子について説明書きされたパンフレットがありますね
中国など諸外国からも石獅子を求めてお客さんが来店するのでしょうか
‐大地さん‐
はい、このパンフレットは「石から生まれる表情」というタイトルを中国語に訳して石獅子の魅力や材料について説明しています
台湾出身の大学時代の同級生が翻訳してくれました 本当にありがたいです。
最近では台湾からのお客さんも来店してくれるようになり、2018年5月には台湾で展示会を行いました。それまでも、大学時代を含めて作品のみ海外に渡ったことはありましたが、私自身、海外へ行くのはその時が初めてでした
‐ちゅら子‐
大地さんが作った石獅子が海外まで広がっているのですね
台湾での展示会はどうでしたか
‐大地さん‐
台湾の方は皆さん温かく、積極的に質問してくれる方が多かったですね自分の作った石獅子に興味を持ってくれていると実感しました。
日本での展示会では来客者は遠巻きにみている感じがありますが、台湾はとても活気に満ちて賑やかな雰囲気でした。現地の方によると、台湾の離島にも石獅子文化があるそうです
‐ちゅら子‐
台湾での交流を機に、どんどん活躍の場が広がってきそうですね
今後の展望はありますか?
‐大地さん‐
2018年は念願だった台湾での展示会を実施できました
僕の獅子は石なので重いですが・・・トランクに入れて色々な国を回ってみたいです
石獅子を通じて世界と繋がることができればこんなに嬉しい事はないです
‐ちゅら子・ごさまるお・アイデンティ―子‐
また、スタジオde-jinに遊びに行きますね
本日はありがとうございました~!
Interviewee:若山大地
Interviewer:ちゅら子・アイデンティー子・ごさまるお
Writer:海男
Editor:ごさまるお
Proofreader:プー子
かつて石畳があった首里の街で、オリジナルの石獅子を彫る若山大地さんのお店「スタジオde-jin」を訪ねました。
現代に生きる沖縄の石獅子職人に迫ります!
‐ちゅら子‐
素敵なお店ですね
白い獅子達が畳敷きのお店の雰囲気と馴染んで温かみを感じます。
これらは全て石で出来ているのですか
‐大地さん‐
はい
私が制作する石獅子は、琉球石灰岩という石を彫って作っています。
お店を畳敷きの和室調にしたのは僕の妻・恵里のこだわりです
お店の隣がアトリエになっています。
‐ちゅら子‐
お店の壁には沢山の石獅子 が並んだポスターが飾られていますね~
‐大地さん‐
このポスターは恵里の作品です
沖縄の各村々には石を彫った古い獅子がありますが、それを分布図として解りやすくグラフ化したものです
村落石獅子は、現在の沖縄シーサーの原型とも言われています。
‐ちゅら子‐
そういえば・・・
村のあちこちに石を彫った狛犬のような獅子(シーサー)を見かけます
私の住んでいた豊見城市にもポツンと佇んでいる石獅子?があったような・・・。普段は意識しないので気にすることもなかったのですが、それらが村落石獅子なんですね
饒波のシーサー
饒波のシーサー
よく目にする漆喰シーサーや焼き物のシーサーと同じような意味合いがあるのでしょうか 村落石獅子について教えてください。
‐大地さん‐
村落石獅子とは、守り神として各村の要所に設置された石獅子のことです
神社の狛犬(本土)のような権威付けがなかったこともあり、家の屋根に乗せる文化に繋がったのではないかと言われています。
文献には村の石工が作ったと記述されているものが多く時代背景と作風から、一部の獅子は久米村の技術者(中国からやってきた技術者)の手が入っていると思います。
当時(琉球王朝時代)は庶民が勝手に石獅子を彫ることは許されていませんでした。
ある一定の王府からの許しを経て、各村の石工(石大工)によって制作されたものが多いようです。
‐ちゅら子‐
そもそも獅子は架空の生物だと思いますが、どこからきたものですか
‐大地さん‐
沖縄の獅子や本土の狛犬は元を辿るとスフィンクスに代表される古代オリエントに繋がります。
日本は沖縄も含めシルクロードが終着点で、一説には日本は朝鮮半島経由で、沖縄は南中国経由で入ってきたとも言われています
特質すべきは、仏教的な思想がそれほど民衆に浸透していなかったため、沖縄の獅子には阿吽の概念があまり見られませんでした。つまり、一対ではなく単体で存在しているものもあるのです。
沖縄の獅子文化は多種多様な形のみならず、ニーズに合わせ近代になって阿吽の概念を取り入れたりするなど現在進行形で発展しています
字根差部のシーサー
字根差部のシーサー
字根差部のシーサー近くで散歩中の山羊に遭遇
字根差部のシーサー近くで散歩中の山羊に遭遇
‐ちゅら子‐
大地さんが石獅子を彫るようになったきっかけはなんですか
‐大地さん‐
沖縄県立芸術大学(彫刻専攻)を卒業した後は、石彫刻家として活動しています。
村落石獅子を意識して彫るようになったのは、友人に連れられ那覇市上間にある石獅子を見にいったときです。
すぐにピ~ンときました。それは自然の岩(琉球石灰岩)に目と口を彫っただけのシンプルなものでしたが、力強い印象を受けました 僕が追い求める石彫の概念そのものが、その石獅子から感じられ、魅了されましたね~
石獅子 カンクウカンクウ
石獅子 カンクウカンク
石獅子カンクウカンクウの説明
それからです!
オリジナルの石獅子を彫るようになったのは
‐ちゅら子‐
大地さんの手掛ける石獅子はシンプルで表情豊かですよね
愛嬌もあって可愛いです
スタジオde-jinには、中国語で石獅子について説明書きされたパンフレットがありますね
中国など諸外国からも石獅子を求めてお客さんが来店するのでしょうか
‐大地さん‐
はい、このパンフレットは「石から生まれる表情」というタイトルを中国語に訳して石獅子の魅力や材料について説明しています
台湾出身の大学時代の同級生が翻訳してくれました 本当にありがたいです。
最近では台湾からのお客さんも来店してくれるようになり、2018年5月には台湾で展示会を行いました。それまでも、大学時代を含めて作品のみ海外に渡ったことはありましたが、私自身、海外へ行くのはその時が初めてでした
‐ちゅら子‐
大地さんが作った石獅子が海外まで広がっているのですね
台湾での展示会はどうでしたか
‐大地さん‐
台湾の方は皆さん温かく、積極的に質問してくれる方が多かったですね自分の作った石獅子に興味を持ってくれていると実感しました。
日本での展示会では来客者は遠巻きにみている感じがありますが、台湾はとても活気に満ちて賑やかな雰囲気でした。現地の方によると、台湾の離島にも石獅子文化があるそうです
‐ちゅら子‐
台湾での交流を機に、どんどん活躍の場が広がってきそうですね
今後の展望はありますか?
‐大地さん‐
2018年は念願だった台湾での展示会を実施できました
僕の獅子は石なので重いですが・・・トランクに入れて色々な国を回ってみたいです
石獅子を通じて世界と繋がることができればこんなに嬉しい事はないです
‐ちゅら子・ごさまるお・アイデンティ―子‐
また、スタジオde-jinに遊びに行きますね
本日はありがとうございました~!
Interviewee:若山大地
Interviewer:ちゅら子・アイデンティー子・ごさまるお
Writer:海男
Editor:ごさまるお
Proofreader:プー子
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